日语学习,日语童话故事

孚咖小编 2020-05-20 17:24:56 1241



彦一和阎王

むかしむかし、彦一(ひこいち)と言う、とてもかしこい子どもがいました。 

 彦一も年をとっておじいさんになり、とうとう死んでしまいました。 

 死んだ彦一が、ふと気がつくと、目の前にはなんと、地獄(じごく)のえんまさまがすわっています。 

(しもうた。ここは、地獄じゃ) 

 だけど彦一は、少しもあわてません。 

 めいどヘ旅立つとき、彦一は黒ざとうと、白ざとうと、トウガラシを入れた、三段の重箱(じゅうばこ)をもたせてもらいました。 

 そのふたをあけ、黒ざとうから、さもうまそうになめはじめました。 

「こら彦一、しんみょうに、おれさまのさばきをうけい。・・・やや、そこで、なにをなめているか」 

 えんまさまが、大目玉でにらみつけると、彦一はニッコリ笑って、 

「うまいものです。ちょっとだけさしあげましょう」 

と、言うと、黒と白のさとうをだしました。 

「なるほど、たしかにうまい。・・・うん? その下のだんには、なにが入っておる」 

「それでは、これもなめてください」 

 彦一がさしだしたのは、ほかでもない、真っ赤なトウガラシです。 

 えんまさまは、チョイとなめて、すぐにベッと、はきだしました。 

 だけど彦一は、なにくわぬ顔で、 

「えんまさま、こりゃ、ひと口なめれば、からいもの。いちどに食べれば、うまいものです。いっペんにのみこまないといけません」 

「そうか、では、はやくよこせ」 

と、えんまさまは、重箱いっぱいのトウガラシを、一口でのみこんだものですから、たまりません。 

 たちまち、はらの中がにえくりかえり、口や目から火をふきました。 

「あちち、あちち、もうたまらん!」 

 えんまさまはドタドタところげまわったあげく、赤い衣をぬぎすてて、水をかぶりにかけだしました。 

 手下のオニどもも、これはたいへんと、右ヘ左へ走りまわっています。 

「では、わたしはこのすきに」 

 彦一は、えんまさまの赤い衣に着替えると、外へとびだしました。 

 そして、なにも知らない子オニたちに、こういいました。 

「わたしはえんま大王であるぞ。ちと、天国まで用事があるので、すぐにカゴを用意しろ」 

「はっ、ただいま!」 

 子オニたちは、急いでカゴを用意すると、彦一を天国まではこびました。 

 こうして彦一は、ぶじに天国で暮らすことができました。 


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